半々生活な日々

日々思うこととか、アイドルのこととかつらつらと。

欅坂46の躍進と、アイドル業界に与える影響

 

最近、欅坂の勢いを非常に感じます。

 

私はドルオタDDなので、一般層にリーチする形での躍進かの確証は持てませんが、デビューシングルの売上やメディアの扱い、ネット掲示板SNSでの話題性等を見ていると、完全にその流れが来ていると思います。

しかし、私はあまりこの状況を良いこととは捉えていません。

別に決して欅坂が悪いというわけではなく、この状況を生み出してるという事実がアイドル業界のターニングポイントを示しているのではないかと思うからです。

 

「アイドルブームはオワコン


そういった文言はアイドル戦国時代まっただ中の2010年代初頭から散々語りつくされてきましたが、色々な変容はありながらも現在まで熱気を保ったままアイドルブームは続いていると思います。*1

今回の欅坂の躍進もそういったアイドルブームの流れの延長線上ではないかといえば、それも見方によっては間違っていないのかもしれませんし、私が懸念してることも特に全体に影響を及ぼさない可能性はあります。

しかし、どうしても気掛かりなことがあり、それがアイドルブームの終焉を指し示しているのではないかと感じているので、以下で解説していきたいと思います。

 

 

アイドルの成長物語はもう不必要?

 

現代アイドル文化を支えてきた最も重要な要素は「ストーリー消費」だと私は思っています。


言うなれば、普通の女の子や売れない芸能人の卵たちが様々な試練を乗り越えていく過程で発生するストーリーの積み上げがあるからこそ、その子たちはアイドルになり得るのではないでしょうか。

そしてファンの人たちは、そのストーリーを実際に同じ場で体験したり、ネット等の情報や動画で追体験することで、そのアイドルにより強い輝きをみて、よりハマっていくというのがスタンダードな流れだと思います。

いわゆるビジュアルメン*2のファンについても、ファンになる入り口はそうであったとしても、ほとんどの人が上記のようなストーリーを上乗せすることによって、より強い思いを持つファンになっていってるのではないかと思います。

このような絶妙なファン囲い込みのシステムが、現代アイドル文化が持続的にブームを維持してきた要因なのではないかと私は考えているのです。

 

しかし、このようなストーリー消費に依存したシステムには欠陥もあります。それは、ファン層と一般層の間の乖離がより激しくなるということです。*3

アイドルブームが到来した後、AKBを筆頭にマスメディアに多く進出するようになり、先ほど述べたようなファン層以外の一般層も意識してグループ運営することが求められました。

おそらくここで運営が取った施策で上手くいったのは2種類。

それは、一般層を今まで通りの手法でファン層に引き込みやすい、内面を押し出してキャラを認識してもらう「バラエティアイドル路線」の施策と、一気にファン層まで引き込まなくても短時間での訴求力が非常に高く広く認識されやすい「ビジュアル・ファッション路線」の施策だと思います。


この「ビジュアル・ファッション路線」施策が1つのキーになるのですが、当初はその施策を取っていた運営も上記のビジュアルメンのファンが辿るフロー*4を想定していたのではないかと思います。

ですが、そのグループが一定の知名度を超えた場合、わざわざ「ストーリー消費」に誘導してファン層に転化しなくても一般層が売り上げに貢献することがわかり*5、「ストーリー」の組み上げにリソースをあまり費やさない純粋な「ビジュアル・ファッション路線」を指向するという選択肢が生まれたのではないでしょうか。

そして、この路線をグループ単位で本格的に採用するようになったのが、最近の乃木坂46であり*6、その妹分である欅坂46なのです。

 

 

欅坂46の躍進で突きつけられた事実

 

欅坂46は2015年8月21日に結成され、まだ1年も経たないうちにデビューシングルを発売、シングルチャートで1位を獲得し、女性アーティストデビューシングル売上枚数で歴代1位も獲得しました。

しかし、その間に数々の試練を乗り越えるストーリーがあったのか、そしてそのストーリーをファンの人達と共有出来たかというと不十分だと思います。

同時期結成のNGT48と比較すると、各メンバーの内面的な人柄などをうかがえるような露出や、ファンとの接点も圧倒的に少ないです*7

ですが、欅坂46は躍進しました。これは紛れもない事実です*8

 

この事実は、今まで「ストーリー消費」がスタンダードであった現代のアイドル文化を根底から覆すことになりかねません。

「ストーリー」の積み上げは、時間・人・お金・コンテンツ量等、非常にコストがかかりますし、なによりアイドルにとっても肉体的・精神的負担がかかります。そのコストを捨てても良いのであれば、運営もアイドルも容易にそれを捨て去るのではないでしょうか。

別に現代アイドル文化を根底から覆しても特に問題はないのでは?という見方もあるでしょう。ですが、それは「ストーリー消費」によりコアなファン層を量産することによって持続的にブームを維持させてきた今のアイドル文化を捨てて、ライトな一般層向け文化に書き換えるということであり、それは過去のマスコミ主導のアイドル文化の衰退を踏襲することになるだけではないでしょうか。

『まあそれも既定路線、問題ない』と言うならばそれまでですし、そもそも「ストーリー消費」自体が陳腐化しつつあり、どのみち変革が必要ではないかという意見もあるでしょうが、私はもう少し今のアイドル文化をファンとして持続的に楽しみたいと思っていて、それこそが既存のアイドルオタにとって最も良い答えなのではないかと思っているので、この今の状況を危惧しているということを最後に述べておきたいと思います。

 

P.S

ちなみに、私自身欅坂の事はとても好きですし、「けやかけ」もちゃんとチェックしていてなんだかんだハマっています(笑)。4/30の全国握手会にも参加予定ですので、そこでまた何か気づきがあれば書きたいと思います。

あと、乃木坂展望もがんばります。(今年の1/3が終わろうとしてるけど…)

 

 

*1:48G、乃木坂46やスタダ系、そして地上地下アイドルが集まるフェスなどのライブ集客力はいまだに高い水準で、坂道シリーズやAKB本体の握手会は盛況、地下アイドルも依然多数存在しておりイベントも多い。

*2:相対的に容姿が良いとされるメンバー。オタ視点というよりは一般的に良い容姿であると認められそうなメンバーを主に指す。

*3:いわゆる「AKB村」のような問題。村内人気と村外人気が乖離する。

*4:結果的にビジュアル以外のストーリー的要素も重視するより濃いファンになること。

*5:正確には既存マスメディアは過去の経験からそんなことは知っていたが、そこまでスムーズに持っていく道筋をただ掴めていなかっただけだとは思う。

*6:乃木坂結成当初からそういったコンセプトはあっただろうが、実際はAKBに近い従来のストーリー組み上げ方式に引っ張られてたと思う。

*7:NGT48は結成直後から握手会での交流、年初より連日の劇場公演や、SNS等でのオフショット、バックステージショットの公開など、ストーリーになり得るコンテンツが豊富だった

*8:飽和状態の乃木坂46からファンを誘導したから、という裏事情はあるが、そんな内情をわざわざ今おもてだって伝えられることはないでしょう。ある意味そういった事情をうまく利用して、結成当初から一定の知名度を獲得し、この状況を作ったということでもある。

乃木坂2016年展望について 概要編

こんばんは。
完全に更新が滞ってしまいましたね、すみません。

 

乃木坂46の2016年についての展望を書こうと思っていたのですが、キーとなりそうな要素が大量に出てきてしまい、すべてをまとめようとするとかなりの労力と分量になるため、なかなか書き出せずにいました。

 

そこで、まずそのキーとなりそうな要素を出してしまい、その後のエントリーで個別に取り上げていくことにしました。
少し期間がかかってしまうかもしれませんが、おつきあい頂ければ幸いです。

 

大まかに重要ポイントのおさらい

とりあえず乃木坂の今後の展望を語るうえで取り上げないといけないであろうポイントを下に列挙していきたいと思います。

 

・まいまい、らりん卒業
→いま乃木ヲタが一番関心のある内容の一つだと思います。両名だけの問題でなく「卒業」というテーマを考える時期に来ています。


・選抜メンバー固定化問題
→こちらもヲタの関心度が非常に高く、特に匿名空間においての議論が活発な問題です。


・アンダー問題
→選抜固定化とセットですが、結成当初から少しずつは改善しつつも引きずり続けるアンダーメンバーの処遇問題は重要です。


・3期生加入
→先日発表された3期生の募集。グループ全体に様々な影響を及ぼすでしょう。


・昨今の握手会情勢と今後
→おそらく現役アイドルグループの中で一番握手会が盛況であり、乃木坂の活動の中での重要度もかなり高くなっています。


・欅坂46
→初の姉妹グループということで、その動向は乃木坂本体にも必ず影響を与えると思います。


・AKBグループとの関係
→同一プロデューサー、公式ライバル設定、混合ユニットなど、距離は近いですがヲタ心理は複雑な両者の関係も重要です。


・グループの特色と方向性
→昨年は「乃木坂らしさとは」がテーマにあったように思います。今後何を選び進んで行くのか注目が必要です。


・アイドル業界の中での乃木坂
→ピークアウトしつつあるアイドル業界の中で、乃木坂はどのような立ち位置となるのか。上記テーマも絡んできます。

 

 

ざっと、こんなもんでしょうか。

 

これを、個別に見ていくのか、ある程度テーマをまとめて見ていくことになるのかはまだわかりませんが、今後上記のポイントを踏まえつつ何個かのエントリーに分けて展望を書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 

それではまた。

乃木坂46 2015年雑感について

「躍進」と「停滞感」が共存した2015年

乃木坂46の昨年2015年の評価を一言でするとなると、色々と意見が分かれるんじゃないかと思う。
それはおそらく、人気がさらに出て躍進したなという話と、なんか停滞してたなという話の2つに分類できるんじゃないだろうか。
たぶん僕は両方とも正しいと思っていて、ただそれはグループへの関わり方や視点の違いから発生してるに過ぎないと思うのだ。

 

「躍進」は現場の実情と数字と外仕事から

乃木坂46の「躍進」を裏付ける要素、実は沢山ある。

まずは現場だが、ライブはアンダーライブも含めて大箱を余裕でうめているし、握手会も回数を重ねるごとに人が増えていると感じる。*1
しかも、一部のメンバーのみの人気ではなく、すべてのメンバーについて優劣はあるものの人気が上昇していると言える。*2

次に数字。
CDシングル売上枚数は、2015年も右肩上がりでついに13thの累計枚数は70万枚を突破した。
他のアイドルグループが横ばい傾向もしくは下降傾向をみせるなかのこの売上は満点をあげてもいいぐらいじゃないだろうか。

最後に外仕事。
各メンバー色々と差はあるものの、雑誌の専属モデルが決まったりTV・ラジオ番組に出演したりと外仕事がとても増えた1年だったし、今まで乃木坂46を知らなかった人たちにも名前を覚えてもらうことができたのではないだろうか。

 

「停滞感」の原因は遡って2014年から

一方「停滞感」はどこから来ているのか。これを語るうえでは、「2014年」は避けては通れないだろうと思う。

2014年、この年は乃木坂46にとって天国と地獄の年だったといえる。
CD売上枚数も絶好調であったし、着実に広くなるライブ会場、飼い殺しから解放されたアンダーメンバーの躍進等、夏までは文句の付け所がほとんどない状態で上り調子だった。あの神宮の夏までは。

ドキュメンタリー映画でも触れられたが、さゆりんごのスキャンダルは当時相当なショックをメンバー・ファンともに与えていた。そして追い打ちをかけるように紅白落選の報が入り、正直秋から年末にかけてはそれまでの雰囲気がガラッと変わってしまっていたと思う。

そして、そんな絶望の淵からなんとか持ち直していくことになるわけだけど、やはり代償はでかい。

 

「1回休み」の2015年

実際問題この2015年、前半は2014年に落ち込んだ分の復興作業に追われていたと思う。ファン・メンバーともに腫れ物にさわるような状態を時間をかけて緩和しようと努めていた。
後半に関しては、あの神宮の夏以降にあったであろうストーリーを1年越しでただ想定通り再現していった状態だったようにも思う。*3
そういう意味では、2015年は「1回休み」の年ともいえるし、それが「停滞感」を生んでいるのではないだろうか。

前述の「躍進」と矛盾するという意見もあるかもしれないけれど、それはあくまでも時間差の問題、すなわち2014年に潜在的に加速していた人気が表面化しただけで、ロケットが加速が切れた後も上昇を即座にやめないように惰性的な躍進であるといえるのではないかとも思う。

 

さいごに

とは言っても、特に個人的には乃木坂46ファンを辞めるつもりは今のところないし、今後も応援を続けていきたいとは思ってるので安心してもらいたい。

次のエントリでは、乃木坂46の2016年の展望を書いていきたいと思う。
らりんの卒業の意味、欅坂の本格稼働、アイドル業界の動向と立ち位置など色々ある。

2016年は乃木坂46にとって正念場だ。しっかり見届けていきたい。

 

*1:特に自由に参加できる全国握手会は異常な人の多さで、その処理のためにハイタッチ会と化すレーンもあった

*2:先日の個別握手会は全員が完売するという快挙だった

*3:苦難を乗り越えるという要素は付加されているだろうけど、なにぶん大っぴらにスキャンダルの清算をしなかったものだからあまり意味は大きくないと思う。ドキュメンタリー映画での触れ方もいまいちだった